• 検索結果がありません。

㈠ 外国法人の外国税額控除に係る控 除限度額

1  改正前の制度の概要

⑴ 制度の概要

 恒久的施設を有する外国法人が各課税事業年 度において法人税法第144条の 2 第 1 項(外国 法人に係る外国税額の控除)の適用を受ける場 合において、当該課税事業年度の控除対象外国 法人税の額が法人税における控除限度額を超え るときは、その超える金額を一定の控除限度額 の範囲内で、地方法人税の額から控除すること とされています(地方法人税法12③)。

⑵ 控除限度額

 恒久的施設を有する外国法人の地方法人税に おける外国税額控除の控除限度額は、恒久的施 設帰属所得に係る所得に対する法人税額(法人 税法第144条及び第144条の 2 の規定を適用しな いで計算した法人税額)を課税標準法人税額と して計算した場合の地方法人税の額に相当する 金額として政令で定めるところにより計算した 金額(以下「恒久的施設帰属地方法人税額」と いいます。)のうち当該外国法人の当該課税事 業年度の国外所得金額(法人税法第144条の 2 第 1 項に規定する国外所得金額をいいます。)

に対応するものとして政令で定めるところによ り計算した金額とされています(地方法人税法 12③)。

2  改正の内容

 今回の改正において、上記1 ⑵の控除限度額の 計算の細目が地方法人税法施行令に定められまし た。

 具体的には、恒久的施設を有する外国法人の地 方法人税における外国税額控除の控除限度額は、

恒久的施設帰属地方法人税額に法人税法施行令第 194条第 1 項(控除限度額の計算)に規定する割 合、すなわち当該事業年度の恒久的施設帰属所得 金額のうちに当該事業年度の調整国外所得金額の 占める割合を乗じて計算した金額とされました

(地方法人税法施行令 3 ③④)。

《算式》

控除限度額 = 地方法人税の額(注) ×

当該事業年度の調 整国外所得金額 当該事業年度の恒 久的施設帰属所得 金額

(注) 地方法人税の計算の基礎となった基準法人 税額のうちに、租税特別措置法第 3 章第 5 節

(使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例)

又は第 5 節の 2 (土地の譲渡等がある場合の 特別税率・短期所有に係る土地の譲渡等があ る場合の特別税率)の規定により加算された 金額がある場合には、当該基準法人税額から 当該加算された金額を控除した残額を当該課 税事業年度の基準法人税額とみなして課税標 準法人税額を計算し、これに4.4%を乗じて計 算した金額を恒久的施設帰属地方法人税額と する必要があります(地方法人税法施行令 3

③括弧書き)。

3  適用関係

 上記2の改正は、外国法人の平成28年 4 月 1 日 以後に開始する課税事業年度の基準法人税額に対 する地方法人税について適用されます(平成26年 改正法附則36)。

Ⅵ 復興財確法(復興特別所得税関係)

1  改正前の制度の概要

 平成26年度税制改正において、復興特別所得税 においても二重課税を排除するため、非居住者に 係る外国税額の控除が措置されました。

 具体的には、復興特別所得税申告書を提出する 非居住者が平成29年から平成49年までの各年にお いて非居住者に係る外国税額の控除(所法165の 6 ①)の規定の適用を受ける場合において、その 年の控除対象外国所得税の額が所得税の控除限度 額を超えるときは、恒久的施設帰属所得に係る所 得の金額につき所得税の税額の計算に関する法令 の規定(非居住者に係る外国税額の控除の規定を 除きます。)により計算した所得税の額のみを基 準所得税額として計算した場合の復興特別所得税 の額に相当する金額のうち、その年において生じ た国外所得金額に対応する金額を限度として、そ の超える金額をその年分の復興特別所得税の額か ら控除します(復興財確法14②)。

 なお、復興特別所得税について非居住者に係る 外国税額の控除の適用を受けるためには、居住者 の外国税額の控除と同様に、復興特別所得税申告 書、修正申告書又は更正請求書に控除を受けるべ

き金額及びその計算に関する明細を記載した書類 を添付しなければならず、また、控除額はその記 載された金額を限度とすることとされています

(復興財確法14③)。

2  改正の内容

 復興特別所得税について非居住者に係る外国税 額の控除の適用を受ける場合の控除限度額の計算 が定められました。

 具体的には、非居住者のその年分の東日本大震 災からの復興のための施策を実施するために必要 な財源の確保に関する特別措置法第 6 条第 7 号に 規定する確定申告書に係る同法第10条に規定する 基準所得税額につき同法第13条の規定を適用して 計算した復興特別所得税の額に、その年分に係る 所得税法施行令第292条の 8 第 1 項に規定する割 合を乗じて計算した金額とすることとされました

(復興所令 3 ②)。

3  適用関係

 上記2の改正は、平成28年 4 月 1 日から施行さ れます(改正復興所令附則二)。

七 適格合併等の範囲等に関する特例(クロスボーダーの組織再 編成に係る適格性判定の特例)の改正

1  改正前の制度の概要

 一定の組織再編成を通じて内国法人を軽課税国 の法人の子会社とし、その後の軽課税国の親会社 との取引を通じて所得移転を図るなどの濫用的な 組織再編成に対応し、国際的な租税回避を防止す るため、次の特例が設けられています。

⑴ 適格合併の範囲等に関する特例

 企業グループ内の法人間で行われる三角合併

のうち特定グループ内合併に該当するものは、

適格合併とされる合併の範囲から除外すること とされ、合併の適格性が否認されます(措法68 の 2 の 3 ①)。この「特定グループ内合併」と は、次の要件のいずれにも該当する合併をいい ます(措法68の 2 の 3 ①一・二、措令39の34の

3 ⑩⑪)。

① 被合併法人と合併法人との間に特定支配関 係(合併、分割又は株式交換の直前に二の内 国法人のいずれか一方の内国法人が他方の内

国法人の発行済株式等の50%超を直接又は間 接に保有する等の関係をいいます。以下同じ です。)があること。

② 被合併法人の株主等に特定軽課税外国法人 に該当する親法人(合併法人との間にその合 併法人の発行済株式等の全部を保有する関係 がある法人に限ります。)の株式が交付され ること。

 「特定軽課税外国法人」とは、次のイ又は ロの外国法人をいいます(措法68の 2 の 3 ⑤ 一、旧措令39の34の 3 ⑤)。

イ 法人の所得に対して課される税が存在し ない国又は地域に本店等を有する外国法人 ロ 合併、分割、株式交換又は現物出資(以 下「合併等」といいます。)が行われる日 を含むその外国法人の事業年度開始の日前 2 年以内に開始した各事業年度のうちいず れかの事業年度において、その事業年度の 所得に対して課される租税の額がその所得 の金額の20%以下であった外国法人

(注) 租税負担割合の計算は、外国子会社合 算税制における外国関係会社の租税負担 割合の計算と同様に行うこととされてい ます(措令39の34の 3 ⑥、39の14②)。

 ただし、上記イ又はロに該当する外国法人 であっても、その外国法人が次の要件の全て に該当する場合には、特定軽課税外国法人に 該当しないこととされています(措令39の34 の 3 ⑦)。

イ 事業基準

 株式・債券の保有、工業所有権・著作権 等の提供又は船舶・航空機の貸付けを主た る事業とするものでないこと。

ロ 実体基準・管理支配基準

 本店所在地国においてその主たる事業を 行うに必要と認められる事務所等の固定施 設を有し、かつ、その事業の管理、支配及 び運営を自ら行っていること。

ハ 非関連者基準又は所在地国基準

イ 非関連者基準(その外国法人の行う主

たる事業が卸売業、銀行業、信託業、金 融商品取引業、保険業、水運業又は航空 運送業である場合に適用)

 合併等が行われる日を含むその外国法 人の事業年度開始の日前 2 年以内に開始 した各事業年度のうちいずれかの事業年 度において、関連者以外の者との取引が 50%を超えていること。

ロ 所在地国基準(その外国法人の行う主 たる事業が上記イの 7 業種以外の事業で ある場合に適用)

 上記イの 7 業種以外の事業を主として 本店所在地国において行っていること。

⑵ 本特例の対象から除外される合併

 その合併が次の全ての要件(適用除外要件)

を満たす場合には、本特例の対象とされる特定 グループ内合併から除外されます(措法68の 2 の 3 ①、措令39の34の 3 ①)。

① 被合併法人の合併前に営む主要な事業のう ちのいずれかの事業と合併法人の合併前に営 む事業のうちのいずれかの事業とが相互に関 連すること。

② 合併法人が合併前に継続して営む事業に係 る売上金額等の合計額が、被合併法人が合併 前に継続して営む事業に係る売上金額等の合 計額のおおむね 2 分の 1 を下回るものでない こと。

③ 合併法人の合併前に営む主たる事業が株 式・債券の保有、工業所有権・著作権等の提 供のいずれにも該当しないこと。

④ 合併法人が合併前にわが国においてその主 たる事業を行うに必要と認められる事務所等 の固定施設を有し、かつ、その事業の管理、

支配及び運営を自ら行っていること。

⑤ 合併法人の合併前の社長等の特定役員の過 半数が被合併法人の役員又は使用人を兼務し ている者等でないこと。